少年サッカーの試合動画・生中継 「Lebo Football」にテンセント出資

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テンセント傘下TOPIC基金が出資

中国の少年サッカー大会の主催を主とする「Lebo Football(乐播足球)」は、Pre-Aラウンドで数千万人民元(数億円)の資金調達を完了した。調達後の評価額は、約1億人民元(17.3億円)となる。今回は、テンセント傘下のTOPIC基金(腾讯兴趣内容基金)が出資した。今回の資金は、チームビルディングや新規サービスの開拓に使用する予定。

 

「Lebo Football」とは

 「Lebo Football」は2016年6月に、中国で有名なサッカー解説者・コメンテーターの董路(Weiboのフォロワー900万人)と郭盛斌によって共同設立された。“少年サッカー”に焦点を当てたショートムービーの作成・配信とサッカー関連商品(アパレルやアクセサリー)の販売をおこなっている。設立当初は、サッカーに関連したエンターテイメントコンテンツの制作から流行りのライブ配信まで、多くの試行錯誤を繰り返していた。今では、少年サッカー業界のパイオニアとして、少年サッカーに特化したショートムービーの制作や試合のライブ中継で確固たる地位を確立している。しかし、「Lebo Football」の2017年度の収益は700万人民元(1.2億円)で、事業はまだ赤字の状態だ。

少年サッカーのライブ中継がヒット

 「Lebo Football」を象徴する少年サッカーのライブ放送は、昨年、中国の歴史ある青少年の大会「百队杯」の試合を中継したことがきっかけとなった。
 大会に出場する以前、オンライン上で選手を募集して大会を開催していた。「Lebo Football」は、主催した大会で選手を選抜し、自社の選抜チームで、昨年の「百队杯」に参加したのだった。大会における少年サッカーチームの試合の様子をライブ中継すると、これが驚くほどヒット。ライブ中継の最大視聴者数は40万人に達し、動画再生数も数百万回を超えた。「Lebo Football」は、少年サッカーという巨大市場の可能性を認識した。

 2017年8月27日、「Lebo Football」は「百队杯」に参加した選手を中心に再びチームを組み、上海で「中国足球小将」という大会を主催した。この大会は、「Lebo Football」による招待制の大会で、「Lebo Football」の少年チームが各地の強豪チームと対戦する。この大会の初戦のショートムービーのクリック数は、6600万回だった。

 

Lebo Football」を支える “大会主催力”

 最近、自社主催の大会「中国足球小将」は、全国レベルの選手が集まる大会となってきた。2018年から、イタリアのスポーツ用品ブランド「Kappa」の子供服「Kappa Kid」とスポンサー契約を結ぶまでに成長している。さらに、「Lebo Football」が制作したショートムービーやライブ中継によって、選手の知名度が高まり、すでにプロチームからのオファーが届いた選手もいるようだ。

 また、「中国足球小将」の大会を中国各地の都市で開催する。 今年上半期は、西安、広州、大連といった、中国国内でもサッカーが盛んな都市での開催を予定している。

 さらに、より多くのチームが参加できる大規模な選手権も開催する予定だ。中国全土の9都市で予選大会が開催され、夏休みに各地域を優勝した代表チームで決勝大会をおこなう。この選手権には、200以上の少年サッカーチームが参加すると見込まれている。

 

「Lebo Football」の今後

 「Lebo Football」では、少年サッカーのライブ中継・ショートムービーのアプリをリリースする予定だ。今年6月には、WeChatミニプログラムで試験導入するようだ。このミニプログラムには、自社が主催した大会のデータやコミュニティ機能などが実装される。

 今後、中核となっている大会主催事業に加え、他の大会のライブ中継や、子どもたちのリアリティ・ショー、グッズ開発など、サッカーにまつわるサービスを提供していく。

 

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児童向けオーディオアプリ「口袋故事」5.2億円調達

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児童向けオーディオアプリ「口袋故事」資金調達

児童向けのオーディオアプリ 「コウダイグゥーシィー(口袋故事:kǒudai gùshi) 」は、Bラウンドで3000万人民元(5.2億円)の資金調達を完了した。 今回のリードインベスタは七海资本(Seven Seas Partners)だ。 調達した資金は、主に中国国外の児童文学の導入、著作権の管理、マーケティング、プロモーション、チームビルディングに使用される。

 

「口袋故事」とは

 「口袋故事」は2011年に設立された。12歳未満の児童向けに、童話や童謡、音楽、科学の知識などのオーディオコンテンツを提供するアプリだ。「口袋」とは「ポケット」の意味で、「故事」は「物語」既に「口袋故事」は、テンセント(Tencent)、シャオミ(Xiaomi)、Tモール、JD、バイドゥ(Baidu)の児童向けコンテンツのパートナーとなっているようだ。

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児童向けアプリの工夫

 2013年から、「口袋故事」は自社オリジナルのコンテンツも配信している。現在、10万以上のオーディオコンテンツがあり、児童向けコンテンツ市場の約80%を占めている。「口袋故事」による配信は、1人の読み手が読み聞かせするのではなく、複数の声優が決められた役を演じている。よりリアルで飽きさせない工夫がなされているのだ。

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 現在、「口袋故事」のアプリ上には、1万SKU以上の有料コンテンツがあり、課金率は全ユーザーの5%ほど。ユーザーの課金インセンティブを増やすため、有料コンテンツの割合も徐々に増やしている。現在、連携している出版社、吹き替え制作企業、作家の数は、合計100以上。アプリ上のコンテンツのうち、約50%がオリジナルコンテンツで、500部以上の知的財産権を所有している。コンテンツは、児童が就寝時に聴くものが多く、トラフィックのピークは20〜23時ごろだ。

 

「口袋故事」の収益モデル

 「口袋故事」では、過去7年間の登録ユーザー3000万人分の児童の読書履歴や人気コンテンツなどの蓄積データを、出版社や塾、学校に提供している。現在、アプリは約50万DAUで、ユーザーの課金が主な収入源だ。課金方法は2パターン。30人民元/月(520円)・360人民元/年(6230円)の会費を支払うか、もしくは1回ごとに購入する(数百円~)ことも可能だ。

 

今回のリードインベスターであるSeven Seas Partnersの協力もあり、「口袋故事」のコンテンツは、テンセントのスマートスピーカー「Tingting(听听)」にも収録されている。

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アリババ AIによるデザインプロダクト2つを発表

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アリババ デザインプロダクトを発表

先日、アリババ(Alibaba)が2つのデザインプロダクトを発表した。10億回以上画像をデザインした人工知能デザイナー「Luban(鹿班)」(以前は「鲁班」として知られていた)と、ショートムービー制作ロボット「Aliwood」だ。「Aliwood」は主に自社のECサイト「Taobao」で使用する予定で、「Luban」は他社にも機能を公開する予定だ。

 

アリババのAIデザイナー「Luban」

人工知能デザイナー「Luban」は、 ディープラーニングモンテカルロ木探索などの技術を活用しており、「画像生成」から「成果評価」までの一連の工程が組み込まれている。通常のデザイナーのように、発注、スケッチ、フレームなどの作業を経て、システム上で最良な案を決定し、最終的に成果物を出力する。

今回、アリババが正式に「Luban」の複数の機能を他社に開示する。例えば、ワンクリックで成果物を出力できる機能「一键生成」だ。この機能を使えば、デザインに精通していない人でも、ボタンひとつで画像を作成でき、企業や店舗のデザインコストを大幅に削減することに繋がる。将来、人工知能によるデザインコストは、人間によるデザインコストの約10%になるとアリババは予想する。

2017年11月11日の「独身の日」キャンペーン期間中、「Luban」が1日に4000万枚の画像を出力していた。1秒あたり平均8000枚の画像をデザインしている計算だ。現在までで、合計10億回以上の画像をデザインしたようだ。

また、アリババは「Luban」の使用に際し、トレーニングプロジェクトを開始。デザイン業界の優秀なデザイナーたちを招いている。将来、「Luban」がデザイナーの指導の下、さまざまなデザインを学び、デザイナーの仕事をサポートするようになるかもしれない。

 

アリババのショートムービー制作ロボ「Aliwood」

「Luban」に続き、アリババはショートムービー制作ロボット「Aliwood」もリリースした。「Aliwood」は、グラフィックやテキストなどのコンテンツを統合し、サウンドトラック付きで20秒ほどの短編ビデオを自動的に生成してくれるロボットだ。

現在、アリババのECサイト「Taobao」では何十億もの商品を扱っているが、商品の説明・PRが動画になっているものは1%未満である。アリババは、約20億の商品にPR動画が必要だと考えているようだ。ショートムービーによって、写真よりも一貫した情報や満足度の高いショッピング体験を提供でき、製品購入のコンバージョン率を高めることができるという。あるデータによると、ショートムービーを使用することで、シェア率は約40%増加、売上は約18%増加した。

グラフィックデザインと同様に、ショートムービーの制作もコストが高く、非効率的だという問題がある。例えば、1年間で20億本のショートムービーを作成する場合、動画1つを作成するのにデザイナー1人で30分かかってしまう。1日8時間勤務だとすれば、50万人のデザイナーが必要となる計算だ。「Aliwood」で効率的にショートムービーを制作できれば、「Taobao」は、他のECサイトと差別化できるだろう。

「Aliwood」の使用は、アパレル業界や3C(PC・通信端末・電化製品)業界を中心に展開する予定だ。

 

中国のドライバー向け万能アプリ「Weiche」が資金調達

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ドライバー向け万能アプリ「Weiche」が資金調達

 ドライバー向けの万能アプリ「微车(Weiche)」は、C1ラウンドで資金調達を完了した。 今回のリードインベスターは台达资本だ。このラウンドの資金調達の後、「Weiche」の評価額は2億米ドル(216.4億円)以上となる。

 

「Weiche」とは

 「Weiche」は2013年に設立された。中国では、スピード違反などの交通違反は後から請求されるため、気が付かないうちに違反請求される場合もある。そのため、設立当初は、ドライバーが交通違反をしたかどうか検索できるサービスから始まった。現在は、「Weiche」アプリ上で罰金の支払いや、近くのガソリンスタンドの位置や価格情報、車に乗ったまま給油・決済ができるサービス、自動車保険の比較、車のメンテナンス、中古車の売買など、ドライバーに必要な幅広いサービスを提供している。

Weiche
ガソリンスタンド・給油サービス画面

 「Weiche」は、過去2年間でアウディマツダといった自動車メーカーや、中古車売買の「Guazi(瓜子二手车)」、地図アプリの「Amap.com(高德)」などの自動車産業の関連企業と連携している。「Weiche」では、ドライバーに関連する企業とのネットワークを継続的に構築しているのだ。2017年だけで、「Weiche」ユーザーのドライバーと関連企業間の取引総額は、合計750億人民元(1.3兆円)にのぼる。CEOの徐磊は、「Weiche」はドライバーと自動車関連サービス企業とを結ぶ“ハブ”になるのだと語った。

 

「Weiche」の成長

2015年から2017年にかけて、「Weiche」アプリのガソリンスタンド関連サービスが大人気となっている。ガソリンスタンド関連サービスの利用者(車数)は、2016年の8018万台から2018年に1.2億台へ増加した。同時に「Weiche」アプリの取引規模は、2015年の1.2億人民元(20.6億円)から2017年の15億人民元(257.3億円)となり、11.5倍も増加している。

 

将来、「Weiche」はドライバーコミュニティや人工知能を中心に、車のオーナーと自動車関連企業とのさらなる関係構築を目指している。

 

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医師同士の学習アプリを開発 「医学界」25.6億円調達

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中国医師のレベルアップを目指す医学界が資金調達

医学界(Yixuejie)は、亚东星辰(Yadong Xingchen Investment And Development Co., Ltd.)から1.5億人民元(25.6億円)の資金調達を発表した。この資金は、主にプラットフォームの構築、プロモーションの強化などに使用される。

 

増える医学界ユーザー

 医学界は2012年に設立された。設立当初は、雑誌からスタート。その後、ソーシャルメディア分野に参入し、2015年9月にリリースしたアプリ「医生站(Yishengzhan」が人気となった。「医生站」とは、医師同士が相互に学習できるアプリで、医師に対してオンライン講座の配信、医学関連情報、技術的な議論の場、ケーススタディなどの機能を提供している。 現在、このアプリのユーザーは130万人で、中国で人気の医学アプリの1つとなっている。

 

 中国のSNS「WeChat」では、一般ユーザー向けに、多くの医療系アカウントが健康や病気に関するコンテンツを配信している。医学界も、診療科ごとに多くの公式アカウントを運営している。現在、医学界の公式アカウントのフォロワーは合計600万人を超える人気だ。モバイル端末におけるPV数は、医学系公式アプリのなかでもトップである。

 

医学界が描く未来

 医学界の主な収益源は広告料収入であり、病院の研修といったオフライン業務にも関与し始めている。医学界の創業者陈奇锐は、中国の医師レベルの不平等は大きな問題であると指摘した。『新しい技術や医師間の相互学習を通じて、学習意欲の高い医師がいつでもどこでも学ぶができれば、この問題の一部を解決できる』と述べた。

 今後、医学界では医師を中心に、サプライチェーンにおける病院、製薬会社、保険とも連携した包括的なサービスプラットフォームの構築を目指す。

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中国のアプリランキング(2018.Q1)動画アプリの勢い止まらず

中国アプリランキング

米国調査会社センサータワー(Sensor Tower)が、2018年Q1における中国Appストアのダウンロードおよび課金ランキングを発表した。

 

「動画アプリ」の人気止まらず

2018 Q1 non game app
SensorTower

 非ゲーム類アプリでは、「Tencent Video(腾讯视频)」、「Tik Tok(抖音)」、「Kuaishou(快手)」、「iQiyi(爱奇艺)」を含む動画配信アプリが、ダウンロード・課金ランキング上位を独占。

 課金ランキング(上図:左側)では、「Tencent Video」、「iQiyi」、「Youku」といった動画配信アプリが長期間上位を占めている。今年のQ1でも「腾讯视频」がトップとなったが、ショートムービーアプリの元祖「Kuaishou」が2位にランクインした。

 ダウンロードランキング(上図:右側)では、ショートムービーアプリの人気は顕在のようだ。リリースして1年ほどの「Til Tok」が、中国旧正月から無料ダウンロードランキングトップを維持しており、今年Q1におけるダウンロードランキングで1位であった。「Tik Tok」に続いて、「WeChat」と「Taobao」が2、3位となった。

 

ゲームアプリTOPはテンセントが独占

2018 q1 game app
SensorTower

 一方、ゲーム類アプリでは、テンセントの人気ゲーム「王者荣耀」が、いまだに課金ランキング(上図:左側)トップを維持している。同ゲームは、1年以上連続でゲーム類および総合ランキングで1位となっている。同じくテンセントのゲーム「QQ飞车」は、昨年末のリリース直後から人気を博し、課金ランキング2位につけた。

 ダウンロードランキング(上図:右側)でも、テンセントの新作ゲーム「绝地求生:刺激战场」がリードしている。日本ゲーム会社ヒットポイントが開発した4位の「旅かえる」は、1月中旬から2月初旬にダウンロード数のピークを迎え、2月中旬から大幅に減少し始めた。先日、アリババが「旅かえる」の中国における運営権を獲得したと発表したが、中国語版「旅かえる」は再びブームを起こせるのか、注目されている。

 

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中国の無人ジム「Park Box」 数億円を調達

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「Park Box」が4度目の資金調達

 中国のシェアリングジム「Park Box(公园盒子)」がA+ラウンドで华住酒店集团(Huazhu Hotels Group)から数千万人民元(数億円)を調達した。「Park Box」設立から1年間で、今回が4度目の融資となる。CEOの黄晓蕾氏によると、Huazhu Hotels Groupからは資金だけでなく、同グループのホテル内への出店サポートや億単位の顧客情報も共有される。

 

無人ジム「Park Box」とは

 「Park Box」とは、24時間営業の無人・セルフサービスジムだ。住宅地域から5分ほどの距離にジムを構え、いつでもトレーニング可能な生活圏の構築を目指している。実際に、住宅街や公園、ホワイトカラー層向けのアパートなどのエリアを中心に広まりつつある。

Park Box

 「Park Box」では、『誰かと一緒にトレーニングしたい』というニーズに応え、1人用のジムは設置していない。「Park Box」の広さは、3種類用意されている。最も小さい8㎡タイプが2人用、18㎡タイプが中間で、最も広い28㎡タイプで最大5人まで同時にトレーニングができる。 また、他のジムと異なる点は、ユーザーがトレーニングをする“インセンティブ”を重視した工夫だ。ユーザーは、近くにいるトレーナーやトレーニング熟練者とアポを取り、一緒にトレーニングすることができる。

 「Park Box」では、最初にデポジットとして99人民元(1700円)を支払うと、通常利用価格29人民元/時(500円/時)のところを、割引され10人民元/時(170円/時)で利用できる。さらに、ジム内のトレーニング器具やその他サービスも割引価格で購入することも可能になる。

 

無人ジム「Park Box」市場拡大を狙う

 現在、上海では50ヶ所以上に「Park Box」が設置されており、杭州にも進出し始めている。アクティブなユーザーは、月に平均6回ほど利用しているようだ。昨年6月に設置した「Park Box」の1号店では、すでにコストを回収済みで黒字化している。新たに今年設置した「Park Box」も、8ヶ月以内にコストが回収される見込みだ。

 今回調達した資金は、新タイプのジムの開発に使用し、これまで進出していた住宅地域だけでなく、今後はホテルにも進出していく予定だ。

 

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